Letter 海洋:南大洋における自然の鉄肥沃化が炭素隔離に及ぼす影響 2007年4月26日 Nature 446, 7139 doi: 10.1038/nature05700 海洋の広い水域における一次生産力とそれに伴う炭素の取り込みは、利用可能な鉄の量によって制限される。このように、鉄は炭素循環で重要な役割を果たしており、海洋表層への鉄の供給量の変化は、氷期間氷期サイクルを通じて、大気の二酸化炭素濃度に大きな影響を及ぼしてきた可能性がある。今日まで、炭素循環における鉄の役割は、主として短期間の鉄添加実験によって評価されてきた。しかしながら、このような方法を用いた海洋内部への炭素移出量の信頼できる評価は難しく、観測期間が短いので、観測結果をより長い時間スケールへ外挿することはできない。本論文では、自然の鉄肥沃化によって起こった植物プランクトンの大増殖の観測結果を報告する。この種の観察によって、短期間の実験のもつ制約のいくつかを克服することができた。南大洋のケルゲレン海台全域で起こった植物プランクトンの大規模な増殖が、鉄の豊富な下層の深海域から表層水域への鉄と主要な栄養素の供給によって維持されていることがわかった。供給される鉄の量に対する炭素の移出量の比として定義される肥沃化の効率は、鉄添加実験によって起こる短期の大増殖に基づくこれまでの推定値より少なくとも10倍の高さになった。この結果は、鉄と主要栄養素による長期の肥沃化が炭素隔離に及ぼす影響に新しい光を投じるものであり、いくつかの古気候シナリオや未来気候変動シナリオで触れられている海洋下層からの鉄供給量の変化が、大気の二酸化炭素濃度に、これまで考えられてきたよりも大きな影響をもたらす可能性があることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る