Letter 生理:遺伝性のイオンチャネル病におけるゲート孔電流 2007年3月1日 Nature 446, 7131 doi: 10.1038/nature05598 イオンチャネル病は遺伝性疾患で、イオンチャネル中央のチャネル孔を介したイオン伝導の制御に異常があるために細胞の機能が損なわれ、周期性四肢麻痺、心不整脈、腎不全、てんかん、片頭痛、運動失調などが起こる。今回我々は、これまで定着していたこのような見方と対比すべき事実を明らかにする。すなわち、低カリウム血性周期性四肢麻痺の原因となるのは、S4領域にあってチャネル開閉にかかわる、電荷をもつアルギニン残基の3つの変異であり、これが骨格筋のNaV1.4チャネルの電位センサーからの、過分極によって活性化される陽イオン漏出を引き起こすのである。この「ゲート孔電流(gating pore current)」は静止膜電位で生じるが、電位センサーを活性化する脱分極によって消失する。その透過性はNa+、K+、Cs+に対しては同じ程度だが、一価の有機陽イオンであるテトラエチルアンモニウムイオンやN-メチル-Dグルカミンイオンの透過性ははるかに低い。二価の無機陽イオンBa2+、Ca2+、Zn2+の透過は検出できず、これらのイオンはミリモルレベルの濃度でゲート孔を閉鎖する。これらの結果から、自然発生するイオンチャネルの病的変異でゲート孔電流が生じることが明らかになり、ゲート孔電流を生じさせる変異と低カリウム血性周期性四肢麻痺との関係が明確になった。このような機能獲得型のゲート孔電流は、低カリウム血性周期性四肢麻痺に特徴的にみられる、優性遺伝する膜脱分極、活動電位不全、弛緩性麻痺、および細胞病変の大きな要因になるのだろう。ほかのイオンチャネル病について調べると、やはりゲート孔電流を生じさせると思われる変異の例が多数見つかり、イオンチャネル病にゲート孔電流が幅広く関与している可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る