Letter

地球:MgSiO3鉱物中の転移のモデル化が示唆するマントル深部塑性流動

Nature 446, 7131 doi: 10.1038/nature05593

地球内部の力学過程は、放射性崩壊によって生じる熱と始源的な熱を地表へと輸送するマントル対流によって主に支配されている。深部マントルのゆっくりした動きは、主にMgSiO3ペロブスカイト鉱物からなる岩石の高温クリープによって固体状態中で生じる。MgSiO3の「ポストペロブスカイト」相への転移は、地震波速度異方性の観測など最下部マントルの特異性を説明できる可能性があるが、このような鉱物相の力学的性質はほとんどわかっていない。固体の塑性流動には、転位とよばれる多数の結晶欠陥の動きがかかわっている。地球マントル内の流れを定量的に記述するには、高圧状態の鉱物中の転位と応力下でのそのふるまいについての情報が必要である。今のところ、このような性質は、実験で得られた原子間ポテンシャルや第一原理計算を用いた直接的な原子論的シミュレーションでは解明できない。本論文では、その代わりとして、パイエルス・ナバロモデルに基づいた原子論的シミュレーションについて報告する。MgSiO3ペロブスカイト(100 GPa)とポストペロブスカイト(120 GPa)に対して転移コアモデルが提案され、ペロブスカイトでは、塑性変形が単位セルの斜方晶系の歪みによって強く影響を受けることが示された。ケイ酸塩ポストペロブスカイトでは、大きな転位はコアの解離により緩和され、これは、最下部マントルの力学的性質と地震波異方性に関係していると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度