Article 細胞:酵母におけるMAPKを介した双峰性遺伝子発現と適応性勾配感知 2007年3月1日 Nature 446, 7131 doi: 10.1038/nature05561 酵母(Saccharomyces cerevisiae)の接合にかかわる経路に注目した研究はかなり多く行われているが、この経路の調節の量的側面についてはまだ解明されていない。我々は、マイクロ流体チップによる実験と計算によるモデル作製を合わせて、正確に決められたフェロモン勾配のもとでの接合応答に関連した遺伝子発現と表現型の変化について調べた。本論文では、スイッチのような切り替え型の経路と段階的経路の応答が組み合わさって、特定のフェロモン濃度範囲内での表現型の確率論的な決定につながることを報告する。また、これらの応答に決定的に必要なのが、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)によるフェロモン応答特異的転写因子Ste12の活性調節と、Ste12の自己制御フィードバックであることも明らかにする。特に、接合突起をもつシュムー型細胞のフェロモン濃度に対するスイッチ型経路の性質や遺伝子発現の感受性は、接合経路で活性化されるMAPキナーゼの1つであるKss1を欠失させると、著しく低下した。またKss1欠失細胞では、勾配感知のダイナミックレンジが野生型よりも小さくなった。したがって、接合応答の調節にこのキナーゼが予想外に重要な機能を果たしていると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る