Letter 物理:グラフェン中のバイポーラー超伝導電流 2007年3月1日 Nature 446, 7131 doi: 10.1038/nature05555 グラフェンは、最近発見されたわずか原子層1層分の厚さしかない構造のグラファイトで、電荷キャリアが質量のない相対論的カイラル粒子としてふるまうことがわかった最初の物質であるため、物性物理学における新しいモデル系となっている。ホール伝導度の異常な量子化は、現在では理論的に解明されているが、グラフェン中の相対論的電子が示す奇妙な輸送特性のうち実験的に確認されている性質の1つである。電荷中性点(ディラック点)における4e2/h(eは電子電荷、hはプランク定数)程度の有限の伝導度などのほかの変わった特性は予想外であり、まだ説明がついていない。今回我々は、グラフェン層上に2本の超伝導電極を互いに近接して配置したメゾスコピック接合でのジョセフソン効果を調べる実験を行った。グラフェン層の電荷密度は、ゲート電極によって制御できる。超伝導電流がゲート電圧に応じて、伝導帯の電子または価電子帯の正孔によって運ばれるのが観察された。グラフェンの正常状態の伝導度が有限であることだけでなく、有限の超伝導電流が電荷密度ゼロで流れることも発見されたが、これはさらに重要である。今回の観察結果は、グラフェン中での時間反転対称性のもつ特別な役割を解明する手がかりとなり、ディラック点での位相コヒーレントな電子輸送を実証している。 Full Text PDF 目次へ戻る