Letter 「アンティキティラの機械」として知られる古代ギリシャの天文学計算機の謎を解く 2006年11月30日 Nature 444, 7119 doi: 10.1038/nature05357 「アンティキティラの機械」は、ギリシャで発見された類をみない歯車装置で、紀元前2世紀の終わりごろに作られたものである。これは、天体の情報、特に月相や太陰太陽暦のような周期を計算し表示したものと考えられている。暦は、古代社会にとって農業活動の時期を選んだり、宗教行事の日取りを決めたりするために重要であった。食や惑星の運動はしばしば、何事かの前兆として解釈されたが、一方で、天文周期の示す変動の少ない規則性は、不確実で激変する世界においては哲学的な魅力があったに違いない。1901年にローマの難破船から発見された場所にちなんで名づけられた「アンティキティラの機械」は、少なくともその後一千年間にわたる既知のどのような装置よりも、技術的に複雑である。これが具体的にどういう働きをしていたかは、歯車や表面に刻印された文字が断片的でしかないために異論が多かった。本論文では、残骸の表面の撮像と高解像度X線トモグラフィ分析を行った結果、歯車の働きを復元でき、表面に刻印された文字で解読されたものを倍増できたことを報告する。この機械は、バビロニアの等差数列で記述される周期性に基づいて、月や太陽の食を予測した。刻印された文字は、惑星位置の機械的表示がなされていたという考えを裏づけるが、こうした表示は現在では失われている。ヒッパルコスは紀元前2世紀に、天空を横切る月の運動の、その楕円軌道によって引き起こされる不規則性を説明する理論を考案した。我々は、この機械の歯車装置が、その理論を機械的に現実化していたことを見いだし、この時代において技術が予想外に高い程度に達していたことが明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る