Letter

順位時計

Nature 444, 7119 doi: 10.1038/nature05302

都市や会社、インターネット・ハブのような多くの「物」や「事象」は、それらの分布の上側のテールにおいてサイズと共にスケーリングする。そのような分布の特徴を「べき乗則」を用いて表現することには多大な関心がもたれているにもかかわらず、ほとんどの分析はある瞬間での観察に関するものであり、経時的にサイズが変化する「物」や「事象」については、いくつかの重要な例外はあるにしても、ほとんど分析がなされていない。そのような分布をさまざまな時間でとらえるとマクロレベルの安定性が顕著となり、不安定でしばしば激しく変動するミクロレベルの動態を覆い隠してしまうことが、現在は明らかになっている。ミクロ動態においては、「物」がその位置あるいは順位を急速に変えうるが、その総体的分布は極めて安定であるようにみえる。今回私は、「順位時計」(rank clock)と名づけたグラフ表示法を導入して、3つの分布(1790年以降の米国、1901年以降の英国、紀元前430年以降の世界のそれぞれの都市のサイズ)に関するこの種の動態を調べた。得られた結果は、「順位-サイズ」スケーリングが普遍的だとする概念を壊すものである。つまり、これらの時計は、ミクロレベルでみると、都市や文明が何度もさまざまな規模でサイズを増減させてきたことを示している。こうしたスケーリングを比例効果による成長に基づいて説明する従来のモデルでは、このようなミクロ動態を再現できず、そのようなモデルや説明が従来考えられていたよりも普遍的でないことを示唆している。

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