Letter 構造生物学:補体C3bの構造は補体の活性化と調節を解明するための手がかりとなる 2006年11月9日 Nature 444, 7116 doi: 10.1038/nature05258 ヒトの補体系は、自然免疫の重要な構成要素である。補体に由来する産物は、病原体の殺滅および排除のための機能を媒介する。しかし、補体系が不適切に活性化されると、免疫疾患や炎症性疾患の発症につながることがある。補体第3成分(C3)は、その活性化フラグメントが多様な生物学的活性をもつために、中心的な位置を占めている。このうちの主要なフラグメントC3bは、C3とC5の活性化を引き起こす転換酵素の集合体を固定している。C3は、2種類のC3転換酵素のいずれかによって、アナフィラトキシンドメインがタンパク質分解を受け、C3bに転換される。これにより安定なチオエステル結合が活性化され、C3bは、エステル転移反応によって細胞表面またはタンパク質表面の水酸基に共有結合する。C3の分解と活性化により結合部位が露出し、B因子、H因子、I因子、プロパージン、崩壊促進因子(DAF、CD55)、メンブランコファクタープロテイン(MCP、CD46)、補体レセプター1(CR1、CD35)およびワクシニアウイルス補体制御タンパク質のようなウイルスの分子が結合できるようになる。C3bはこれらの分子とさまざまな立体配置で会合し、補体反応の活性化、増幅、および調節を媒介する複合体を形成する。C3、およびC3bのタンパク質分解によって生成されるフラグメントであるC3cの構造から、ドメイン構造が明らかになった。それらのドメインのうち、6個のマクログロブリンドメイン(MG1-MG6、命名法は文献5に従う)はリング状に並んでおり、β-リングと名づけられている。しかし、C3とC3cはいずれも、補体の活性化と調節で活性をもたないため、機能についての疑問には、C3bを直接観察しなければ答えることができない。今回我々は、C3bの構造を報告し、CUB(complement C1r/C1s, Uegf, Bmp1)ドメインの2次構造が著しく失われていることを示す。このことと、その結果として、チオエステルドメインの移動が起こっていることとが、C3からC3bへの転換に伴うコンホメーション変化の分子基盤となっている。全体のコンホメーション変化により、提案されている多くのリガンド結合部位への接近がより容易となり、標的ペプチド結合をI因子の接近から遮断する空洞がつくられる。共有結合したN-アセチル‐L-スレオニン残基によって、表面水酸基へのC3bの付着の立体配置が明らかとなった。 Full Text PDF 目次へ戻る