Letter 進化の過程で保存された受精能にかかわる因子を精子クロマチンでプロテオミクス手法により同定 2006年9月7日 Nature 443, 7107 doi: 10.1038/nature05050 "雄性不妊は、医学的に大きな関心のもたれている長年の謎である。精子のクロマチンの完全性は、雄の受精能とin vitroでの受精能力を示す臨床指標であり、染色体の異数性、DNAの脱凝縮や損傷は生殖機能障害に関連するとされている。精子のクロマチン構造やパッケージングに重要な働きをする保存されたタンパク質が同定されれば、雄性不妊の一般的な原因が明らかになる可能性がある。今回我々は、プロテオミクスと細胞学的手法、機能解析を組み合わせて、線虫(Caenorhabditis elegans)で、受精能に重要な働きをする精子形成クロマチン関連タンパク質を同定した。我々の方法では、多段階方式をとった。まず、複数の同等の減数分裂細胞、つまり精子形成や卵形成中の細胞からクロマチンを精製し、次に、クロマチンと共に精製された因子を多次元タンパク質同定技術(MudPIT)によりプロテオミクス解析し、量に基づいて精子タンパク質に順位をつけた。さらに、一般的なクロマチン因子と減数分裂因子を除外するために、共通タンパク質を取り除いた。精子形成段階のクロマチンと共に精製されるタンパク質の、現時点における最も大規模な数は1,099種類であるが、この方法により、これを132種類にまで減らして機能解析を行った。RNA干渉による遺伝子機能の抑制とタンパク質の存在位置の研究とをあわせると、DNAの凝縮や染色体分離、受精能に不可欠な保存された精子形成特異的タンパク質が明らかになった。また、精子形成以外の過程にかかわる因子が、精子形成にも予想外の役割を果たしていることもわかった。線虫から哺乳類まで、保存されている受精能関連因子を見つけるという我々の方法の目的は達成された。線虫のタンパク質に相当するマウス遺伝子をノックアウトすると、37%(7/19)が雄性不妊を引き起こした。したがって、今回のリストは、雄性不妊の原因の解明と男性避妊薬の標的の同定に大いに役立つと考えられる。" Full Text PDF 目次へ戻る