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生きている細胞で観察した、本来内在する遺伝子座への熱ショック因子の結合の動態

Nature 442, 7106 doi: 10.1038/nature05025

生きている細胞の核内での転写因子の働きを直接観察すると、遺伝子の制御機構について重要な知見が得られる。生細胞画像技術によって、染色体の動態から遺伝子の発現まで、核内のさまざまな現象を見ることができるようになった。しかし、細胞に本来存在する特定の遺伝子の転写制御の研究は、主として個々の遺伝子座の解像がむずかしいことと、活性な転写単位内で機能している少数のタンパク質分子の検出がむずかしいことのために、進展が遅れていた。今回我々は、生きているショウジョウバエの唾液腺で多糸染色体を含む核の多光子顕微鏡観察によって、特定の内在遺伝子への転写因子の動員と交換をリアルタイムで分析できることを報告する。熱ショック後に、RNAポリメラーゼII(Pol II)が内在hsp70遺伝子座87Aと87Cへと動員されるのをリアルタイムで可視化した。hsp70の転写アクチベーターである熱ショック因子(HSF)は熱ショック前には核に局在し、熱ショック後には核質から染色体座へと移動する。光退色後の蛍光回復に基づく検出法で、熱ショック条件下でない場合には染色対座でのHSFの急激な交換が認められるが、熱ショック後には交換が非常に遅くなることがわかった。しかし、本論文で蛍光相関分光法によって直接的に示されるように、これはHSFの拡散性が変化するためではない。今回の結果から、活性化されたHSFがin vivoでDNAに安定的に結合することの強力な証拠が得られ、またhsp70の転写の反復に、転写アクチベーターの代謝回転つまり解離が不必要なことが立証された。今回の結果とこれまでの研究から、転写アクチベーターは、生きた細胞で標的遺伝子座に結合する際に多様なふるまいをすることがわかる。転写やRNAプロセシングにかかわる多くの因子、さらにin vivoで内在する熱ショック遺伝子に結合してこれらの過程の制御にかかわる因子の動態を調べるのに、今回の方法が応用できそうだ。

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