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成獣の海馬歯状回では新生ニューロンがNMDA受容体を介して細胞特異的に組み込まれる

Nature 442, 7105 doi: 10.1038/nature05028

哺乳類成獣の脳の海馬歯状回では、新しいニューロンが既存の神経回路に持続的に組み込まれている。これらの新しいニューロンが学習・記憶にかかわっていることを示す証拠は次第に集まりつつある。新しく生まれたニューロンの大半は成熟する前に死に、新生ニューロンの生存は経験に依存する形で調節されている。こうしたことから、新生ニューロンの選択的な生存または死が、情報特異的な新しい回路の構築を通じて、例えば情報の保存など学習・記憶の過程に直接的な役割を果たしている可能性が考えられる。しかし、この説での重要な仮定は、新生ニューロンの生死の決定が情報特異的だという点である。ニューロンは情報を主として入力シナプス活動によって受けるので、我々は、新生ニューロンの生存が入力活動によって細胞特異的に調節されているかどうかを調べた。マウスで、レトロウイルスを使って単一細胞レベルで遺伝子をノックアウトする方法を考案し、これを使って、新生ニューロンの生存が、新生直後の短い決定期間中にニューロン自身のNMDA型グルタミン酸受容体によって競争的に調節されていることがわかった。この知見は、新生ニューロンの生存とその結果の新回路形成が、入力依存的かつ細胞特異的に調節されていることを示している。したがって新生ニューロンの作る回路は、決定期間という短い時間枠内の入力活動に関連した情報を表現しているのかもしれない。新生ニューロンの選択的な生存あるいは死によるこのような情報特異的な新回路の追加は、新生ニューロンのもつ希有な特性の1つであって、これが新生ニューロンに学習・記憶で重要な役割を演じさせているのかもしれない。

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