Letter progranulinのヌル変異は染色体17q21に連鎖するユビキチン陽性前頭側頭型認知症を引き起こす 2006年8月24日 Nature 442, 7105 doi: 10.1038/nature05017 性質が明らかではないユビキチン免疫反応性ニューロン封入体(細胞質および核の両方に存在する)がみられる前頭側頭型認知症(FTD)は、MAPT(微小管結合タンパク質タウ)を含む染色体17q21領域に連鎖しているとされてきた(FTDU-17)。タウ免疫反応性は、MAPTの変異に連鎖しパーキンソン症候群を伴うFTD(FTDP-17)の病理学的特徴であるが、FTDU-17患者は一貫してタウ免疫反応性を示さない。さらに、FTDU-17患者では、MAPTの変異やMAPT領域のゲノム再編成が起こっていないことが、ゲノム塩基配列の決定および機械的に伸ばした染色体での蛍光in situハイブリダイゼーションの両方によって明らかにされている。本論文では、FTDU-17が、progranulin(PGRN)をコードする遺伝子の変異によって引き起こされることを示す。PGRNは、腫瘍形成を含む多数の生理学的および病理学的な過程に関与する増殖因子である。我々は、中途終止コドンによって生じる短縮型PGRNタンパク質の産生に加えて、イントロン0のスプライス供与部位内に1つの変異(IVS0+5G>C)を同定した。これは、核での分解によって変異型転写産物が消失することを示している。この結果は、広く調査されているベルギーのFTDU-17創始者家系内から得られた。転写産物やタンパク質の解析から、変異型の対立遺伝子が機能していないことおよびPGRNの発現低下が確認された。また我々は、Met1翻訳開始コドンにおける変異(c.3G>A)も同定した。これは、変異型対立遺伝子が翻訳されないためにPGRNが消失することを示している。我々のデータは、PGRNのハプロ不全によって、PGRNを介したニューロンの生存が低下するため、 神経変性が引き起こされる証拠となる。さらに、ベルギー系の家族性FTD患者では、PGRNの変異はMAPTの変異より3.5倍頻度が高く、FTDの発症機序にPGRNの関与が主要であることを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る