Letter

サル下側頭皮質の単一ニューロンによる標準像に基づいた顔の符号化

Nature 442, 7102 doi: 10.1038/nature04951

見慣れた顔を目にして、それが誰であるか、どんな気分の表情か、そして何を考えているかまで、豊富な情報を迅速に察知することは、ヒトとヒト以外の霊長類の脳に共通する非常にめざましい機能の1つである。マカクザルの下側頭皮質にある多くの視覚応答性ニューロンは、顔に選択的に応答し、時には2、3の個体の顔にしか応答しない場合もあるが、網膜上の像の大きさやその他の性質に対する感受性はほとんどみられない。本論文では、マカクザル下側頭皮質前部の顔応答性ニューロンが、顔認知の標準的次元にチューニングされていることを示す。ヒトの精神物理学から開発された、標準像に基づく似顔絵描きの手法を用いて、写真のようにリアルなヒトの顔の個体特徴に変更を加えていったところ、下側頭皮質前部ニューロンはほとんどの場合、個体性のあいまいな平均的な顔の辺りにチューニングされていることがわかった。この観察結果は、この脳領野の顔選択的な応答が、実際に見ている顔と内部基準とする標準の顔との構造の差を反映した画像比較によって形作られているとする考え方に一致する。このように今回の知見は、下側頭皮質ニューロンのチューニングと顔の同一性認知の心理モデルを結びつけるものである。

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