Letter 電子をドープした高い転移温度の超伝導体 2006年7月6日 Nature 442, 7098 doi: 10.1038/nature04857 従来型の超伝導体では、電子をペアにして超伝導状態を形成する相互作用は、格子振動(フォノン)によって媒介される。高い超伝導転移温度(高Tc)を示す銅酸化物では、反強磁性の母体化合物中に可動な「電子」あるいは「正孔」をドープしたときに超伝導が発生することから、その超伝導機構では磁気励起が基本的な役割を果たすと一般に考えられている。実際に、多数の正孔ドープ物質において、「共鳴」とよばれる鋭い磁気励起が中性子散乱によって観察されている。この共鳴は超伝導と密接に関係し、光電子放出、光学伝導率、そしてトンネリングで観察されている荷電準粒子との相互作用から、これが従来型の超伝導体のフォノンと同じ役割を果たしていると考えられている。しかし、この共鳴と高Tc超伝導との関連性は、共鳴が今まで正孔ドープ物質でしか見いだされていないことから疑問視されていた。本論文では、電子ドープ超伝導体Pr0.88LaCe0.12CuO4-δ(Tc=24 K)でこの共鳴を見いだしたことを報告する。我々は、電子をドープするか、正孔をドープするかに関係なく、すべての高Tc超伝導体で共鳴エネルギー(Er)は、Er ≈ 5.8kBTcの関係を通してTcに比例することがわかった。以上の結果は、この共鳴は銅酸化物超伝導体の基本的な性質であり、したがって、超伝導機構で本質的であるに違いないことを実証している。 Full Text PDF 目次へ戻る