Letter

コアラゲノムへのレトロウイルスの侵入

Nature 442, 7098 doi: 10.1038/nature04841

内在性レトロウイルスは哺乳類のゲノムに共通する祖先伝来の特徴であるが、長い間に変異や欠失を被ったことで大半は不活性となっている。原型を比較的保っている内在性レトロウイルス群は、外来性ウイルスの感染によって動物種のゲノムの中に侵入した時期が遅かったと考えられるが、こうした現象を直接示す証拠はこれまで一例もなかった。我々は以前、コアラレトロウイルス(KoRV)が新生組織(腫瘍)形成に関係する、機能をもつウイルスであることを報告した。本論文では、KoRVが最近挿入された内在性レトロウイルスの特徴ももっており、垂直伝播することを示す。隔離されている一部のコアラ集団では、現在でもゲノムにKoRVが組み込まれていないことが明らかとなった。このことと、KoRVの活性の高さやコアラ個体によるウイルス保有のばらつきをあわせて考えると、KoRVは外来性遺伝因子と内在性遺伝因子の間の移行期にあるウイルスであると考えられる。野生種について現在進行中のこの動的な相互作用は、進行中のレトロウイルス内在化の過程とその結果を研究するための絶好の材料となり、レトロウイルスが哺乳類のゲノムに侵入するという進化上の出来事を研究するためのよいモデルとなる。

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