Letter ING2の植物ホメオドメインによるヒストンH3K4me3認識の分子機構 2006年7月6日 Nature 442, 7098 doi: 10.1038/nature04814 ヒストン尾部の共有結合修飾はクロマチン構造の調節と転写活性の制御において重要な役割を担っている。真核生物では、リシン4がトリメチル化されたヒストンH3(H3K4me3)が、活性クロマチンおよび遺伝子発現に関与している。我々は最近、がん抑制因子であるING2(inhibitor of growth 2)のPHD(plant homeodomain)フィンガーがH3K4me3に結合すること、およびこのPHDフィンガーがエピジェネティックな目印を標的とするモジュールの新ファミリーに属することを見いだした。しかし、H3K4me3認識の分子機構は不明のままであった。今回我々は、マウスING2のPHDフィンガーとリシン4がトリメチル化されたヒストンH3ペプチドとの複合体の分解能2Åでの構造を報告する。H3K4me3の尾部は、INGファミリータンパク質間で保存されている要素からなる深くて広い結合部位に伸びたコンホメーションで結合している。Lys 4のトリメチルアンモニウム基がY215とW238残基の芳香族側鎖によって認識されている。また、PHDフィンガーの高い特異性と親和性は、H3K4me3ペプチドのAla 1、Arg 2、Thr 3およびThr 6のかかわる分子間水素結合と相補的な表面相互作用によって説明される。ING2の結合部位の塩基を置換すると、in vitroではH3K4me3との相互作用が崩壊し、in vivoではING2のアポトーシス誘起能が低下する。ほかのINGやYNGのPHDフィンガーもH3K4me3に強く結合することから、H3K4me3というヒストンコードの認識はING/YNGタンパク質の一般的特徴と考えられる。PHDフィンガーのこの新規な機能の下敷きとなる機構を明らかにすることは、がん抑制因子のINGファミリーがクロマチンの調節とシグナル伝達において果たす役割を解明する基礎となる。 Full Text PDF 目次へ戻る