Letter Nanogは細胞融合後の多能性の伝達を促進する 2006年6月22日 Nature 441, 7096 doi: 10.1038/nature04914 胚性幹(ES)細胞は細胞融合を通じて、既に分化した細胞の核の発生プログラムを取り消し、多能性を生じさせる。この変換にかかわる分子はES細胞で同定できるはずである。そうした候補の1つが変異型ホメオドメインタンパク質のNanogで、これは未分化ES細胞の増殖を引き起こす能力をもつ。本論文では、ES細胞と神経幹(NS)細胞との細胞融合において、Nanogレベルが上がると体細胞ゲノムからの多能性遺伝子の活性化が促進され、(すべてES細胞の特徴をもつ)ハイブリッド細胞のコロニーの得られる率が最大200倍にも高まることを報告する。また、胸腺細胞や繊維芽細胞をES細胞と融合させる場合にもNanogはハイブリッド細胞の生成率を高めるが、ES細胞とNS細胞の融合の場合よりも得られるコロニーは少ない。体細胞の中でも細胞型によって再プログラム化の起こりやすさが違うが、これはその序列によく符合する。特にNS細胞×ES細胞の融合でNanogレベルが高いと、ES細胞×ES細胞という同型融合産物と同じ頻度で、一次ハイブリッド細胞からES細胞コロニーが生じる。つまり、ハイブリッド細胞中でNS細胞のエピゲノムを完全に初期化して多能性をもった状態にリセットするには、Nanogレベルの上昇だけで十分だということになる。我々は、NanogにはES細胞に備わる機構を調整して、体細胞にその分化状態に応じた効率(最高100%)で多能性を生じさせる力があると結論する。 Full Text PDF 目次へ戻る