Letter 新皮質における経験依存的かつ細胞型特異的な樹状突起棘伸長 2006年6月22日 Nature 441, 7096 doi: 10.1038/nature04783 成体新皮質の機能的回路は新たな知覚経験に適応できるが、その基盤となるシナプス機構はよくわかっていない。シナプスの新生や廃止に伴う樹状突起棘の伸長や縮退は、脳回路を変化させる可能性がある。マウスのバレル皮質にある第5B層(L5B)の錐体ニューロンの頂部樹状突起房では、大部分の樹状突起棘は数か月にわたって持続するが、一部の樹状突起棘は出現と消失を数日のサイクルで繰り返している。無処置条件では、新しい棘の多くは一過性で、1週間以上生き残るものはほとんどない。こうした一過性の棘は小さめで、持続性の棘は通常大きい。皮質では多くの興奮性シナプスは棘上に作られるが、シナプスの大きさとα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体の数は棘の体積に比例するので、錐体ニューロンの興奮はおそらく持続性の棘にあるシナプスによって駆動されている。今回我々は、新しい知覚体験によって持続性の棘の新生や消失が増えるかどうかを調べた。新皮質回路の適応的な機能変化を誘導する手法として、ヒゲを1本おきに市松格子状に切除し、その後1か月にわたって樹状突起棘を繰り返し撮影した。ヒゲ切除は新たな棘を安定化させ、処置以前には持続性だった棘を不安定化させた。また新たに持続性になった棘は必ずシナプスを作った。棘は、単純な房ではなく複雑な頂部房をもつL5Bニューロンに選択的に加わった。今回のデータは、新たな知覚体験によって一群の皮質ニューロン上にある新しい棘の安定化が促進されることを示している。おそらく、こうしたシナプス変化が特定の新皮質回路の経験依存的な再編成の基盤になっているのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る