Article 酵母S. cerevisiaeの単一細胞プロテオミクス分析から明らかになった生物学的ノイズの成り立ち 2006年6月15日 Nature 441, 7095 doi: 10.1038/nature04785 生物学の大きな目標の1つは、細胞の挙動を定量的に記述することである。しかし、タンパク質の量やその変動の測定はむずかしく、この課題への取り組みの障害となっている。今回我々は、単一細胞レベルでタンパク質の存在量を迅速かつ正確に測定できる、ハイスループットフローサイトメトリーとGFP標識した酵母ライブラリーとを組み合わせた方法を考案した。富栄養培地と最少栄養培地において2,500種以上のタンパク質について存在量の大規模測定を行ったところ、これらの環境条件に対する細胞応答の詳細が明らかになり、DNAマイクロアレイ分析では観察できなかった変化を数多くとらえることができた。この単一細胞データから、タンパク質の発現のノイズを左右するのはメッセンジャーRNAの確率論的な生産/分解であると考えられる。またこのような全体的傾向のほかに、ノイズにはタンパク質特異的な著しい差異が存在し、タンパク質の転写様式や機能と密接に結びついていた。例えば、環境変化に応答するタンパク質はノイズが多いのに対し、タンパク質合成にかかわるタンパク質はノイズが少ない。したがって、今回の研究は生物学的ノイズの注目すべき構造を明らかにしており、タンパク質のノイズレベルは選択されて変動のコストと潜在的利益を反映してきたことが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る