Letter ヒトの情報探索の意思決定にかかわる皮質領域 2006年6月15日 Nature 441, 7095 doi: 10.1038/nature04766 不確実な環境下における意思決定は、情報を収集するか情報を活用するかという相反する要求の間の葛藤をもたらす。この「情報探索か情報活用か」のジレンマ('exploration-exploitation' dilemma)の古典的説明によれば、賭け事をする人は複数のスロットマシンからどれかを選ぶとき、蓄積された経験に基づいて最も報酬を得られそうな台を選ぼうとする欲求と、それ以上に有利となるかもしれないなじみの薄い台を選ぼうとする欲求(これにより今後の意思決定に役立つ情報が得られる)とを比較検討する。このような情報探索は、ふとした好奇心の表出では決してなく、生物が食餌や水などの資源を手に入れる最上の方法を見つけ出すうえで極めて重要である場合が多い。計算論による強化学習(RL)理論によって裏打ちされた十分な実験的証拠から、欲求の選択にあたっては、ドーパミン作動性、線条体、および内側前頭前野のネットワークが情報活用の学習に関与していることが示されている。対照的に、情報探索は理論面からも動物行動学の面からもよく研究されているものの、その機能を担う神経領域についてはよくわかっていない。今回我々は、ギャンブル課題遂行において被験者のとる選択が、情報探索/情報活用のジレンマへの取り組みについて計算理論で広く認められている戦略の1つの特徴をもつことを示す。さらに我々は、意思決定が情報探索にあたるか情報活用にあたるかを区別するためにこの特徴を用い、機能的磁気共鳴画像化法によって、情報探索の意思決定に際しては前頭極皮質および頭頂間溝が選択的に活性化していることを示す。これとは対照的に、線条体および腹内側前頭前皮質の領域は、価値に基づく情報活用的意思決定への関与に特徴的な活性を示す。これらの結果から、情報探索か情報活用かの行動様式の切り替えが含まれる不確実な状況下での行動選択モデルが示唆され、また、重要な意思決定にかかわる脳システムがこれらの各機能にどう関与するかを計算論的に正確に特徴づけることができる。 Full Text PDF 目次へ戻る