Letter カスパーゼ-12欠損マウスにおける細菌クリアランスの促進と敗血症に対する抵抗力の強化 2006年4月20日 Nature 440, 7087 doi: 10.1038/nature04656 カスパーゼはアポトーシスと炎症性サイトカインのプロセシングの両方で機能するため、敗血症に対する抵抗性に役割を担っている。本論文では、細菌感染に対する応答の抑制におけるカスパーゼの新しい役割について報告する。我々はマウスで遺伝子ターゲティングによってカスパーゼ-12を欠損させると、マウスは腹膜炎と敗血症ショックに対する抵抗性をもつようになることを示す。この結果生き残りに有利となるが、それはカスパーゼ-12欠損マウスが野生型の同腹子よりも効率よく感染細菌を排除できることによる。カスパーゼ-12は、Toll様受容体とNOD経路を刺激するさまざまな細菌成分に反応して炎症促進性サイトカインであるインターロイキン(IL)-1β、IL-18(インターフェロン(IFN)-γ誘導因子)、IFN-γの産生を抑制するが、腫瘍壊死因子-αやIL-6の産生は抑制しない。敗血症になったカスパーゼ-12欠損マウスを生存させるにはIFN-γ経路が重要であるが、それはIFN-γ受容体の中和抗体を投与すると、投与しなければみられたはずの生き残りにおける優位性が失われるからである。機構としては、カスパーゼ-12はカスパーゼ-1に作用してその活性を阻害する。注目すべきことに、この効果にはカスパーゼ-12のプロテアーゼ活性は必要ない。なぜなら、カスパーゼ-12変異体で触媒作用のないCys299Alaも、野生型カスパーゼ-12と同程度にカスパーゼ-1を阻害し、IL-1βの産生を抑制するからである。この点では、カスパーゼ-12はカスパーゼカスケード反応の炎症にかかわる分岐経路の制御に関して、cFLIPと対をなす役割を果たすとみられる。マウスでは、カスパーゼ-12が欠損すると敗血症に対する抵抗性が生じ、またカスパーゼ-12が存在するとカスパーゼ-1に対する優性ネガティブ型の抑制効果がみられ、細菌感染に対して脆弱になり、敗血症による死亡につながる。 Full Text PDF 目次へ戻る