Letter 薬理メタボノミクスを用いた遺伝子表現型解析と個別化薬物治療 2006年4月20日 Nature 440, 7087 doi: 10.1038/nature04648 薬剤の効果を向上させ、副作用の発生件数と重症度を低減させるために、患者の個人的な特徴に応じて薬物治療法を選択すべきことが明確な場合がある。しかしながら、このような薬物治療の個別化を行うには、患者が特定の薬剤や用量の組み合わせにどのように反応するかを予測できなければならない。薬理ゲノミクスによる方法に対しては当初楽観的な見方がされていたが、薬物の吸収、分布、代謝、排泄に及ぼす重要な環境的影響が考慮されていないことから、次第にその限界が認識されるようになってきた。例えば、薬物効果の個人差の基礎となる主要因子は代謝の表現型の違いであり、それは遺伝子型だけでなく、栄養状態、腸内の微生物叢、年齢、疾患、ほかの薬物の併用または前投与などの環境的要因によっても影響を受ける。このことから、遺伝的差異は明らかに重要であるものの、さまざまな主要疾患においてゲノムの知識だけを用いた個別化薬物治療が可能になることはないと考えられる。本論文では、それに代わる概念的に新しい「薬理メタボノミクス」を使った個別化治療へのアプローチについて述べる。この方法では、投与前の代謝物質プロファイリングとケモメトリックスを組み合わせて使い、個々の患者の反応をモデル化して予測する。我々はこの新たな方法の概念検証を行い、ラットに投与したパラセタモール(アセトアミノフェン)に関する研究から、この方法が遺伝的、環境的影響のいずれにも敏感であることを明らかにする。また、薬物の尿中代謝産物プロファイルの投与前予測と、投与前の尿組成とパラセタモール投与後に被った肝損傷の程度との関連を示す。 Full Text PDF 目次へ戻る