Letter 量子版ニュートンの揺りかご 2006年4月13日 Nature 440, 7086 doi: 10.1038/nature04693 多数の自由度をもつ閉じた系は、位相空間のすべての等エネルギー点をエルゴード的にとるというのが統計力学の基本的な仮定である。この仮定が成立する限界を理解するには、エルゴード的ではなく、そのため熱平衡に到達しない系を見いだし、調べることが重要になる。これまでに動力学が可積分で熱平衡に到達しないと考えられる複雑系がいくつか提案されている。多数の粒子からなる近可積分系のいくつかが数値計算で調べられた結果、位相空間をエルゴード的に埋めないことが示されている。しかし、そのような熱平衡に到達しない、多数の自由度をもつ系を実験で実証した例はまだない。本論文では、捕獲1次元ボーズ気体の非平衡配列の生成について報告する。各々のボーズ気体は40〜250個の87Rb原子を含み、数千回衝突した後でも検出可能なほどの平衡化は起こらない。我々の結果は、点状の衝突相互作用をもつ均一な1次元ボーズ気体が可積分系になるという周知の事実によって説明できると考えられる。しかし、現在まで、非平衡1次元ボーズ気体の時間発展は理論的に解決されていない問題である。これは、調和トラッピングや不完全な点状相互作用など実際に起こる状況によって可積分性が保障されないためである。1次元ボーズ気体は減衰が存在しないため、力の検出や原子干渉法など有望な応用が期待できる。 Full Text PDF 目次へ戻る