Letter ID型非定型ミオシンはショウジョウバエの左右非対称性を制御する 2006年4月6日 Nature 440, 7085 doi: 10.1038/nature04623 左右相称動物の胚における左右対称性の破れは、極性をもつ成体の形態や器官の巻きの方向、心臓や脳の機能を生み出す体制作りにおいて非常に重要な現象である。しかし、常に決まった方向性をもつ左右軸(位置選択)に対する決定因子については、分子レベルではまだほとんどわかっていない。左右非対称の完全な逆転(逆位)を起こす突然変異は、非対称性を制御する機構を突き止めるうえで有用であるが、そのような変異はマウスとカタツムリで1つ見つかっているだけである。本研究では、ショウジョウバエ(Drosophila)で左右逆位を示す極めてまれな遺伝子座として、進化的に保存されたID型非定型ミオシン31DFの遺伝子(Myo31DF)を同定した。生殖器の右巻き構造はショウジョウバエ成虫における左右性の顕著な指標だが、Myo31DF変異体ではこれが逆転する。遺伝学的モザイク解析によって、生殖器原基のA8体節が左右軸の形成体であることが特定され、さらに右巻きの発生を方向づけ、左巻きの初期状態を抑制するMyo31DFの機能が、胚の前後軸に沿って区画化されることが明らかになった。決定因子として期待されるように、Myo31DFは誘発因子様の機能をもち、形成体では対称に発現しており、対称的な過剰発現は左右非対称性に影響しない。したがって、Myo31DFはアクチン上を動くモーター活性をもち、位置選択を制御する右巻き遺伝子である。マウスのinversinのように、Myo31DFはβ-カテニンと相互作用して同じ部位に局在しており、このことは逆位遺伝子が接着結合を介して左右の発生を方向づけることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る