Letter ラチェット効果の制御された多重反転 2006年3月30日 Nature 440, 7084 doi: 10.1038/nature04595 非対称ポテンシャル中に閉じ込められた単一の粒子は、非平衡なゆらぎを受けると、「なだらか」なラチェット方向に沿ってドリフトするという、予測どおりのラチェット効果をみせる。しかし、このよく知られた効果は、ポテンシャルが相互作用する複数の粒子を捕獲すると、大きく変化することがある。本論文では、反発し合う一連の粒子がラチェットポテンシャル中に捕獲されると、この粒子間相互作用が原因となって、ラチェット周期当たりの粒子数の奇数から偶数への変化によりドリフトの符号が正から負へと交替するような多重ドリフト反転が、よく制御された形で起こりうることを実証する。この極めて一般的な予測が正しいことを実験で証明するため、ナノメートルスケールの非対称なアレイ状のトラップによって超伝導体中にトラップされた交流駆動の渦糸に対して輸送測定を行った。渦糸密度を高くすると、まさにモデルの予測どおりに、渦糸のドリフト方向が何回も反転することがわかった。このような単一粒子系と多粒子系の間でのドリフト挙動の大幅な変化は、ラチェットや生体膜が2つのドリフト領域、すなわち希薄領域(単一粒子系)と高密度領域(相互作用する粒子系)で異なるふるまいをする原因を解明するのに役立つ可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る