Letter

INK4/ARF遺伝子座の抑制を介したCdc6の発がん作用

Nature 440, 7084 doi: 10.1038/nature04585

INK4/ARF遺伝子座は、3つの腫瘍抑制因子(p15INK4b、ARFおよびp16INK4a)をコードしており、ヒトのがんにおいて最も高い頻度で不活化されている遺伝子座の1つである。しかしながら、この遺伝子座の発現を支配する機構についてはほとんど解明されていない。本論文では、INK4/ARF遺伝子座におけるDNA複製起点と推定される場所を同定した。INK4/ARF遺伝子座は、Cdc6、Orc2およびMCMを含む多タンパク質複合体を組み立て、また、保存された非コードDNAエレメント(調節ドメインRDINK4/ARF)に一致する。RDINK4/ARFを標的として局所化させたRNA干渉誘導によるヘテロクロマチン化により、この遺伝子座の転写が抑制され、このことからRDINK4/ARFが転写調節エレメントに相当することが明らかになった。Cdc6はヒトのがんで過剰に発現しており、DNA複製以外にも役割を担っている可能性がある。Cdc6の発現レベルが高くなると、RDINK4/ARF依存的な転写抑制、ヒストン脱アセチル化酵素の動員およびINK4/ARF遺伝子座のヘテロクロマチン化が起こり、この遺伝子座によってコードされる3つの腫瘍抑制因子の発現も同時に低下することがわかった。この機構は酵母における複製因子による交配型HM遺伝子座のサイレンシングによく似ている。INK4/ARF遺伝子座を抑制する能力と一致して、Cdc6は発がん性Rasとの協働による細胞の不死化活性と腫瘍性形質転換能をもつ。さらに、Cdc6の発現レベルが高いヒトの肺がんではp16INK4aの発現レベルが低い。我々は、Cdc6の異常な発現はRDINK4/ARFエレメントを介して直接INK4/ARF遺伝子座を抑制することにより発がん性を示すと結論する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度