Letter 興奮性遺伝子制御回路は一過性細胞分化を誘導する 2006年3月23日 Nature 440, 7083 doi: 10.1038/nature04588 ある種の細胞分化は確率論的で一過性である。このような系では、個々の細胞は別の状態に切り替わることが可能であり、その後、再び元の状態に戻ることもできる。枯草菌(Bacillus subtilis)にみられる、外界からDNAを取り込む能力(コンピテンス)は、そのような一過性分化状態の一例である。コンピテント状態への分化に関与する個々の遺伝子やタンパク質が同定されてきているが、コンピテンスへの自発的な移行と栄養成長への復帰の制御において、これらの遺伝子が個々の細胞内でどのように動的に相互作用するのかは不明である。本研究では、基礎をなす遺伝子回路の興奮性によってこの挙動が説明できることを示す。蛍光の定量測光ができる時間差顕微鏡によって、個々の細胞で複数の回路構成因子の活性を同時に直接観察し、数学モデルを用いてデータを解析した。正と負のフィードバックループを含む興奮性の中心的構成要素によって、コンピテンス状態への移行と、そこからの復帰を説明できることがわかった。さらに、姉妹細胞での移行開始の解析と、復帰を特異的に阻害する遺伝子回路の再設計によってこのモデルを検証した。ノイズによる興奮性の動的変動は確率論的で一過性の応答を自然に作り出しており、したがって、コンピテンス制御の理想的な機構を提供している。 Full Text PDF 目次へ戻る