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プロリルイソメラーゼPin1はアミロイド前駆タンパク質のプロセシングとアミロイドβ産生を調節する

Nature 440, 7083 doi: 10.1038/nature04543

アルツハイマー病の神経病理学的特徴は、タウからなる神経原繊維変化(もつれの形成)とアミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来するアミロイドβペプチド(Aβ)が形成する神経炎性斑であるが、それらの間の正確な関係はいまだに明白ではない。in vitroでは、タウおよびAPP中のプロリンの直前にあるセリンまたはスレオニン残基のリン酸化が、もつれの形成およびAβの産生に影響を与える。ペプチド中に存在するリン酸化されたSer/Thr-Proモチーフは、シスまたはトランスのコンフォメーションをとることができ、この2つの間の変換はプロリルイソメラーゼPin1によって触媒される。Pin1はコンフォメーション変化を促進することによってタンパク質の機能を調節すると考えられてきたが、そのような働きが可視化されたことはなく、また、Pin1 基質のコンフォメーションの生物学的および病理学的重要性も明らかにされていない。特にアルツハイマー病ニューロンでは、Pin1は酸化により発現が低下あるいは阻害されており(またはその両方)、Pin1をノックアウトすると、タウオパシーと神経変性が生じる。また、Pin1プロモーターの多型は、Pin1量の低下および遅発性アルツハイマー病のリスク増大と関係があるらしい。しかしながら、APPプロセシングおよびAβ産生におけるPin1の役割は明らかにされていない。本論文では、Pin1がAPPプロセシングおよびAβ産生に重大な影響を及ぼすことを示す。NMR画像観察では、APP中のリン酸化されたThr668-ProモチーフにPin1が結合し、その異性化を1,000倍以上加速して、APPの細胞内ドメインの2つのコンフォメーション間における変化を調節していることがわかった。Pin1の過剰発現は、培養細胞からのAβ分泌を抑制するが、Pin1をノックアウトすると、分泌は増大する。マウスでは、Pin1のノックアウトは単独で、または突然変異体APPの過剰発現との組み合わせで、アミロイド形成的なAPPプロセシングを増大させ、脳で主要な毒性種である不溶性のAβ42を選択的かつ年齢依存的に増大させる。この時、Aβ42はニューロンの多胞体に著しく局在するようになるが、これはアルツハイマー病において病理学的に神経炎性斑が生じる以前にみられる状態と同様である。したがって、Pin1が触媒するプロリル異性化は、APPプロセシングおよびAβ産生を調節する今まで知られなかった機構であり、その調節不良がもつれ形成と神経炎性斑の両方の病理学特徴に関与している可能性がある。これらの結果は、アルツハイマー病の病因および治療に対する新しい手がかりをもたらすものである。

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