Letter 個々の細胞におけるタンパク質の単一分子レベルでみた確率論的な発現 2006年3月16日 Nature 440, 7082 doi: 10.1038/nature04599 生きている細胞では、遺伝子の発現(DNAからメッセンジャーRNAへの転写と、それに続くタンパク質への翻訳)は、これにかかわるDNAやmRNA分子のコピー数が少ないために、確率論的に起こる。この確率論的なタンパク質生産の反応は、細胞多数の集合体での測定の場合、細胞が同調していないために直接観察するのはむずかしい。また、これまでのところ単一細胞での測定は、個々のタンパク質分子の生産を分けてとらえるには感度が足りなかった。今回我々はマイクロ流体を基礎にした測定法によって、生きている大腸菌細胞でβ-ガラクトシダーゼの発現を単一分子レベルの感度でリアルタイム観察できることを示す。タンパク質生産は爆発的に起こり、1回のバーストで急増する分子数は指数分布に従うことが観察された。タンパク質発現の2つの重要なパラメーター(バーストの大きさと頻度)は、タンパク質生産のリアルタイム観察によって直接決まるか、あるいは細胞集団での定常状態のコピー数分布の測定から引き出せる。個々の出芽酵母やマウス胚性幹細胞での遺伝子発現を調べるのにこの測定法を応用することで、その一般性が実証された。多くの重要なタンパク質は発現レベルが低く、そのため現在のゲノミクス、プロテオミクス技術ではとらえられない。このマイクロ流体生細胞測定法によって、このようなコピー数の少ないタンパク質の発現の特徴づけを系全体で行える可能性が出てきた。 Full Text PDF 目次へ戻る