Letter 脳にみられる特殊なアミロイドβタンパク質集合体が記憶を障害する 2006年3月16日 Nature 440, 7082 doi: 10.1038/nature04533 記憶機能はしばしば加齢によって低下するが、その低下はニューロンの喪失によるものではなく、シナプス機能が変化することにより始まると考えられている。人によっては、その後に神経変性を伴うアルツハイマー病を発症する。本論文では、アルツハイマー病に関与するヒトアミロイドβ前駆体タンパク質(APP)の変異体を発現するTg2576マウスを使用し、神経変性またはアミロイドβタンパク質アミロイドーシスを伴わない記憶低下の原因を究明した。若齢Tg2576マウス(<6か月齢)は正常な記憶を有し、神経病理学的変化は認められなかった。中齢マウス(6?14か月齢)は記憶障害を生じるもののニューロンの喪失はなく、老齢マウス(>14か月齢)は、アミロイドβを含む神経炎性斑を多く形成した。我々は、中齢Tg2576マウスの記憶障害は、56 kDaの可溶性アミロイドβ集合体が細胞外に蓄積することによって引き起こされることを明らかにし、この集合体をAβ*56(Aβスター56)と命名した。記憶障害を生じているTg2576マウスの脳から精製したAβ*56を若齢ラットに投与すると、記憶が障害される。今回の結果は、Aβ*56がアミロイド斑やニューロンの喪失とは関係なく記憶を障害し、それがアルツハイマー病に伴う認知障害の一因となる可能性があることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る