全世界の生物保全活動が直面する最も緊急の課題の1つは、生物多様性保全の優先地域として認定されている地域の間で、限られた予算や人材などの資源をどのように配分するかである。地球全体の生物保全活動の優先順位づけをするために、国際的組織では生物多様性ホットスポットや固有鳥類生息地域、生態地域などが目安として使われている。優先地域の認定はこの問題を解決する上で重要な第一歩だが、限られた資源を地域間でどう配分するかを指定するものではない。今回我々は、生物保全の優先地域として認定された地域の間で保全用資源をどのように最適に配分するか、すなわち「保全用資源配分問題」を定式化した。確率的動的計画法は、規模の小さな問題について資源配分の最適スケジュールを見いだすのに使われるが、「複数次元の呪い」(curse of dimensionality)のために大規模な問題は扱えない。我々は、最適解に非常に近いものが得られ、使いやすく、かつ解釈しやすい2つの経験則を見つけ出した。また、この問題の正確な定式化と、投資の見返りが時間とともにどう変化するかという情報の使用の両方が重要なことを明らかにする。我々の保全用資源配分の手法は、いかなる空間スケールでも適用可能である。我々は、アジアとオーストラレーシアの間の移行帯に当たるウォレシアおよびスンダランドにある5つの保全優先地域の間で資源を最適配分するための一例を挙げて、この手法を説明する。