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流体力学:せん断懸濁液におけるカオスと不可逆性の閾値

Nature 438, 7070 doi: 10.1038/nature04380

時間可逆な運動方程式に支配されるシステムが不可逆的な挙動を起こす場合は多い。可逆的な挙動から不可逆的な挙動への遷移は統計物理学にとって重要であるが、多体系において実験的に観察されたことはない。ニュートン流体の低レイノルズ数の流れは可逆的になることがある。例えば、同心円筒間の流体が境界運動によってせん断され、続いて境界が逆に運動した場合、すべての流体要素が最初の位置に戻る。固体粒子懸濁液の低速でのせん断は、自然界や科学の場で広く見られる現象だが、これも同様に時間可逆的な運動方程式によって支配されている。今回我々は、低速せん断される懸濁液において、どのようにして時間可逆性が損なわれるかを精密に示す実験について報告する。変形またはひずみには濃度に依存する閾値があり、それを超えると粒子は1サイクルあるいはそれ以上のサイクル後に最初の配置に戻らないことが見いだされた。そして、粒子の変位は異方性ランダムウォークの統計的性質に従っている。実験結果と数値シミュレーションとの比較により、閾値ひずみがリヤプノフ指数(カオス的粒子相互作用の強さの尺度)の顕著な増加と関係があることが明らかになった。この比較結果は、カオス、可逆性、予測可能性の関係を明らかにしている。

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