Article 生化学:イオンチャネルのポアを1度に1プロトンずつ調べる 2005年12月15日 Nature 438, 7070 doi: 10.1038/nature04293 膜タンパク質の構造と機能は荷電残基に依存することが多いが、生理学的条件下における膜タンパク質の電離状態を実験的に推定することは非常に困難である。局所的な微小環境が荷電残基のプロトン親和性に及ぼす影響を解明する目的で、我々はニコチン性アセチルコリン受容体の膜貫通ポアの内側を覆うα‐ヘリックスにリジン、ヒスチジンおよびアルギニン残基がそれぞれ含まれるように設計した。プロトンの結合−離脱反応は、通過する陽イオン電流の短い遮断−非遮断現象として、1側鎖の上にプロトン1個のレベルで電気生理学的に検出可能である。これらの揺らぎの速度論的分析により、位置に依存したプロトンの輸送速度が求められ、この速度から対応するpKa値およびpKaのシフトを計算できる。今回我々は、開状態のコンホメーションのポアの内側を覆う膜貫通α‐ヘリックス(M2)周辺の微小環境について、設計した塩基性側鎖をプロトン化した状態に保つためには、大量の水がある場合に比べて余分な自由エネルギーが必要とされるという点から、残基ごとに自己矛盾のない説明をする。M2の回転はシステインを含むループ構造を有する受容体のゲート開閉機構の特徴としてよく引用されるが、閉状態のチャネルに関するデータとの比較から、我々はM2がもし回転するとしても、その回転はごく小さいと考える。 Full Text PDF 目次へ戻る