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神経生物学:ミクログリア由来のBDNFが神経因性疼痛の原因となるニューロンの陰イオン濃度勾配変化を引き起こす

Nature 438, 7070 doi: 10.1038/nature04223

末梢神経の損傷後に起こる神経因性疼痛は、脊髄後角のニューロンの過剰興奮による。ATPによって刺激された脊髄ミクログリアは、触覚性の異痛症(神経損傷で起こる極めて深刻な痛覚症状)に関与している。したがって、ミクログリアとニューロンの間のシグナル伝達は、神経因性疼痛伝達に重要と考えられるが、それがどのようにして起こるかはわかっていない。本論文では、ATPによって刺激されたミクログリアが、脊髄第I層ニューロンの陰イオンに対する逆転電位(Eanion)を脱分極側に移動させることを明らかにする。この移動のため、GABA(γ-アミノ酪酸)によって活性化される電流の方向が逆転する。これと同様な現象は末梢神経損傷後でも認められている。また、脳由来神経栄養因子(BDNF)の投与によっても同様なEanionの変化が見られる。BDNFとその受容体TrkBの間のシグナル伝達を阻害すると、神経損傷やATP刺激ミクログリアの注入後に起こる異痛症とEanionの変化が阻止される。ミクログリアをATPで刺激するとBDNFの放出が起こる。ミクログリアからのBDNF放出を、ATP刺激前にあらかじめBDNFを標的とする干渉性RNAで処理しておくことによって妨げると、ミクログリア投与による痛み発生の閾値とEanionへの影響が阻害される。これらの結果は、ATPによって刺激されたミクログリアが脊髄第I層ニューロンにシグナルを送って、ニューロン膜内外の陰イオン濃度勾配を崩すこと、BDNFがミクログリアとニューロン間で働く重要なシグナル伝達分子であることを示している。ミクログリア−ニューロン間のシグナル伝達経路の遮断は、神経因性疼痛の治療に有効な戦略となるかもしれない。

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