Letter 細胞:羽嚢の幹細胞活性のマッピング 2005年12月15日 Nature 438, 7070 doi: 10.1038/nature04222 さまざまな器官が自己の幹細胞を「管理」する仕組みを知ることは重要である。毛嚢と羽嚢は強い再生能力を持ち、上皮性の器官を不定期的に更新する。しかし、羽毛の進化(爬虫類から鳥類へ)と毛の進化(爬虫類から哺乳類へ)は互いに独立に起こったもので、その濾胞構造は収束進化の結果である。羽毛の場合には、解剖学的に毛嚢のバルジに相当する構造がないため、幹細胞がどこに存在するのかを解明したいと考えた。今回我々は、標識の長期間保持、移植、DiI標識の追跡によって幹細胞活性のマッピングを行い、羽嚢には細胞周期の進みが遅い長期標識保持細胞(LRC)と一時的に増殖する細胞、分化しつつあるケラチノサイトが含まれることを明らかにした。各細胞集団は解剖学的に異なる領域に存在し、羽毛の周期的変化の間にも動的な恒常性を保つ。成長中の羽嚢では、LRCが「カラーバルジ」部分に多くなる。羽毛が生え換わる際の羽嚢では、LRC は真皮乳頭(dermal papilla)の近くにあるpapillar ectodermへと移動する。移植に伴い、LRCは多能性を示す。三次元的に見ると、放射対称性を示す羽毛ではLRCは環を作って水平に配置されるが、左右対称性を示す羽毛ではその環が傾斜する。幹細胞活性の配置の変化が、複雑な羽毛の形態の形成に寄与していると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る