Article

腫瘍:VEGFR1陽性造血系骨随前駆細胞は前転移ニッチの形成を開始する

Nature 438, 7069 doi: 10.1038/nature04186

腫瘍細胞があらかじめ決められた場所へ転移する際の、細胞および分子レベルの機序はほとんど明らかにされていない。今回我々は、血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1、Flt1としても知られる)を発現する骨髄由来の造血系前駆細胞は腫瘍特異的な前転移部位へ集積し、腫瘍細胞が到達する以前に細胞塊を形成することを明らかにする。抗体を用いたり、VEGFR1細胞を野生型マウスの骨髄から除去したりすることによってVEGFR1の機能を阻害すると、これらの前転移細胞塊の形成が停止され、腫瘍の転移が起こらなくなる。一方、Id3(inhibitor of differentiation 3)欠損マウスにおいて、Id3が機能するVEGFR1細胞を選択的に再構成させると細胞塊の形成および腫瘍の転移が起こる。さらに我々は、VEGFR1細胞はVLA-4(インテグリンα4β1としても知られる)を発現すること、そして腫瘍特異的増殖因子が、常在している繊維芽細胞においてVLA-4のリガンドであるフィブロネクチンの発現を促進し、その部位に集まってくる腫瘍細胞を受け入れやすいニッチにすることを示す。それぞれ独自の転移性播種のパターンを示す異なるタイプの腫瘍から得られた調整培地を用いると、フィブロネクチンの発現および細胞塊の形成部位が変えられ、その結果、転移のプロファイルが変化した。これらの知見は、転移の制御にVEGFR1造血系前駆細胞が必要であることを明らかにしており、フィブロネクチンの発現パターンやVEGFR1VLA-4の細胞塊が、臓器特異的な腫瘍の播種を決定づけることを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度