Letter 細胞:Wnt補助受容体のリン酸化と活性化のための二重キナーゼ機構 2005年12月8日 Nature 438, 7069 doi: 10.1038/nature04185 Wntファミリーの分泌性リポタンパク質によるシグナル伝達は、発生や病気に極めて重要な働きをしている。標準的なWnt/βカテニン経路には、膜1回貫通型受容体である低密度リポタンパク質(LDL)受容体関連タンパク質6(LRP6)が必要である。このタンパク質に複数存在するPPPSPモチーフはWnt刺激に応じてリン酸化されるが、このリン酸化はシグナル伝達に不可欠である。しかしLRP6のリン酸化を行うキナーゼは同定されていない。今回我々は、LRP6のリン酸化と活性化を行う「二重キナーゼ」機構があるという生化学的、遺伝学的証拠を示す。グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、β-カテニンのリン酸化と分解を促進することによりWntシグナル伝達系を阻害することが知られているが、このGSK3がLRP6のリン酸化と活性化を行う。Wntは、LRP6がGSK3とカゼインキナーゼ1によって連続してリン酸化されるようにし、この二重のリン酸化がLRP6と足場タンパク質Axinとの結合を促進する。また膜結合型のGSK3は、細胞質GSK3とは対照的にWntシグナル伝達を促進し、アフリカツメガエルで軸重複を引き起こす。2種類のキナーゼがWnt補助受容体の活性化を行っていることを明らかにした今回の結果から、Wnt/β-カテニンシグナル伝達系の予想外に複雑な仕組みが明らかになり、GSK3が極めて重要な調節系路のオン、オフ両方を指令する正真正銘のスイッチであることがはっきりした。 Full Text PDF 目次へ戻る