Letter 細胞:イモリの水晶体再生の誘導はBMP阻害によるsix-3 の調節が基盤となって起こる 2005年12月8日 Nature 438, 7069 doi: 10.1038/nature04175 イモリ成体に見られる水晶体の再生は、細胞が分化転換過程を経ることによって、いかに忠実に完全な臓器を再生できるかを示す古典的な例である。水晶体を除去すると、虹彩背側の色素上皮細胞が脱分化し、その後分化して新しい水晶体を形成する(腹側の細胞では起こらない)。この過程がどのように調節されているかを解明すれば、高等脊椎動物でこのような水晶体再生が起こらない理由の手がかりがつかめるかも知れない。six-3遺伝子とpax-6遺伝子は、胚発生の際に異所的な水晶体形成を引き起こすことが知られている。今回我々は、これらの遺伝子とともに、胚の背腹軸の確立を調節する骨形成タンパク質(BMP)経路にかかわる遺伝子について、水晶体再生の誘導能力があるかどうかを調べた。その結果、BMP経路が阻害されたときと、虹彩にsix-3を導入してレチノイン酸処理したときに、虹彩腹側から水晶体が再生することがわかった。正常な虹彩ではsix-3の発現レベルは背側よりも腹側で高いが、再生過程では背側での発現だけが著しく増加する。腹側でこのような増加が見られるのは、six-3とレチノイン酸によって、あるいはBMP阻害物質によって分化転換を誘導した場合だけである。これらのデータから、本来分化転換を起こせない成体組織からも水晶体の再生が可能なことと、このような再生は水晶体再生特異的遺伝子の背側での発現というよりは、より複雑な遺伝子調節機構を介して起こることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る