Letter 細胞:「antagomir」を用いたin vivoにおけるマイクロRNAのサイレンシング 2005年12月1日 Nature 438, 7068 doi: 10.1038/nature04303 マイクロRNA(miRNA)は、タンパク質をコードしない非常に多く存在するRNAで、遺伝子発現の調節を行うために多くの生物学的過程で重要であると考えられている。哺乳類でのmiRNAの正確な分子機能はほとんどわかっておらず、解明を進めるにはin vivoでの機能喪失研究が必要と思われる。本論文では、「antagomir」と名付けた、化学的修飾をほどこした新規クラスのオリゴヌクレオチドが、マウスで内在性miRNAの効率的かつ特異的に働くサイレンサーとなることを示す。miR-16、miR-122、miR-192およびmiR-194に対するantagomirの静脈内投与によって、肝臓、肺、腎臓、心臓、腸、脂肪、皮膚、骨髄、筋肉、卵巣および副腎において対応するmiRNAレベルが激減した。この新規方法による内在性miRNAのサイレンシングは、特異的・効率的で、かつ長時間持続する。antagomirを使ったmiRNAのサイレンシングが生物学実験に有用かどうかを、豊富に存在する肝特異的miRNAであるmiR-122について調べた。antagomirを投与したマウスでの遺伝子発現とメッセンジャーRNAのバイオインフォマティクス解析から、発現が亢進した遺伝子の3'非翻訳領域にはmiR-122認識モチーフが非常に多く存在するが、発現が抑制された遺伝子ではこれらのモチーフが激減していることがわかった。発現が低下した遺伝子での機能アノテーション解析からは、コレステロール生合成遺伝子がmiR-122によって影響を受ける可能性がはっきり予測され、そしてantagomir-122を投与したマウスでは血漿コレステロール測定値が低下していることがわかった。我々の結果は、antagomirがin vivoで特定のmiRNAを選んでサイレンシングする強力な手段であり、miRNAのサイレンシングは疾患治療戦略となる可能性があることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る