Letter 物理:捕獲イオンの拡張可能な多粒子もつれ合い 2005年12月1日 Nature 438, 7068 doi: 10.1038/nature04279 量子もつれ合いの生成・制御とその根本的理解は、量子力学の本質に深くかかわっている。もつれ合った粒子は相互作用しないが、ある共通の波動関数で記述される。そのため、各粒子は互いに独立ではなく、それらの量子特性は密接に絡み合っている。量子もつれ合いの興味をそそる特徴は、粒子を個別に制御でき、そして物理的に離しておけるときに特に明白になる。しかし、多粒子系では量子もつれ合いの実験的実現と特性評価はいずれも極めてむずかしい。最も困難なのは、各粒子の量子状態を操作・検出し、同時に粒子間の相互作用を制御する点である。今まで、4個のイオン、あるいは5個の光子の量子もつれ合いが実験で実証されている。拡張可能な多粒子もつれ合いを生成するには、粒子数と共にリソースが非指数関数形で拡大することが必要になる。さまざまな種類のもつれ合い状態の中で、「W状態」は、その量子もつれ合いが最も長く持続し、粒子が失われる場合でもロバストなことから、重要な役割を果たす。このような状態は量子情報処理や多者間量子通信のリソースとして重要になる。本論文では、捕獲イオンによるW型の4、5、6、7および8個の粒子からなるもつれ合い状態の拡張可能で決定論的な生成について報告する。我々は、イオンを個々に制御・検出する状態トモグラフィーによって完全な特性評価を行い、これらの状態について知りうるすべての情報を明らかにした。詳細な分析によって、この量子もつれ合いが真のもつれ合いであることを証明した。このような多粒子もつれ合い状態、また、それらの密度行列の形に関する完全な情報が利用できることから、多粒子もつれ合い状態の理論研究に関するテストベッドが得られる。また、本研究とは独立に、最大6個のイオンによる「グリーンバーガー・ホーン・ザイリンガー」もつれ合い状態がボールダーで生成され、解析されている。 Full Text PDF 目次へ戻る