自己集合する巨大分子機械は、転写、メッセンジャーRNAのプロセシング、翻訳、DNA複製、細胞輸送などの基礎的な細胞過程を進めている。タンパク質合成を行うリボソームはその種の機械の1つであり、細菌リボソームの30Sサブユニットは大型のRNA-タンパク質複合体の生物物理学的解析のための非常に優れたモデル系である。30Sの集合については、多くの成分の会合を同時に観測するのがむずかしいため、理解が不十分である。今回我々は、定量的質量分析によるパルスチェイス(pulse-chase monitored by quantitative mass spectrometry、PC/QMS)を採り入れた方法を開発し、機能を備えた粒子が形成される過程で16SリボソームRNAと20個のリボソームタンパク質が集合するようすを追跡した。これらのデータから、大型の多成分巨大分子複合体の集合の速度論的特徴が、詳しく定量的に示された。温度を連続的に変えてタンパク質の結合速度を測定することにより、集合中のサブユニットのあらゆるところで起こっている局所変化は、似通った値だがそれぞれ違う活性化エネルギーをもつことがわかった。したがって、集合速度を規定するような集合体全体のコンホメーション変化が1回あり、それを経て30Sが集合するというこれまでの見方は、さまざまな局所コンホメーション転移が点在する地形を横断する形で、複合体が集合するという見方に切り替えられるべきである。