Letter 生化学:酵母のタンパク質リン酸化の包括的解析 2005年12月1日 Nature 438, 7068 doi: 10.1038/nature04187 タンパク質のリン酸化は、プロテオームの30%に影響を及ぼすと見積もられており、多くの基本的細胞過程を制御する重要な調節機構の1つである。全体的なスケールでのタンパク質のリン酸化についての生化学的解明は、最近までごく限られたものだった。酵母キナーゼのうち、in vivoでの基質がわかっているものは2分の1に過ぎず、またリン酸化を担当するキナーゼがわかっているリン酸化タンパク質は160に満たない。本論文では、プロテオームチップ技術を用いて、酵母のほとんどのプロテインキナーゼについて、in vitroで認識する基質を明らかにした。同定したリン酸化反応は4,000を超え、かかわるタンパク質は1,325種類に上る。これらの基質の生化学機能は広範にわたり、細胞内での役割はさまざまである。各プロテインキナーゼが認識する基質群はそれぞれ異なっており、このことはプロテインキナーゼAファミリーに属する非常によく似たキナーゼやサイクリンサブユニットだけしか違わない4種類のサイクリン依存性キナーゼにも当てはまる。基質は、自己をリン酸化する酵素と同じ細胞区画に存在する、あるいは機能的に同じ範疇に入るものも多いが、そうではないものも多数あり、いくつかのキナーゼについては新しい役割を持つ可能性が示唆された。また、リン酸化の結果をタンパク質ータンパク質相互作用や転写因子の結合についてのデータと考えあわせたところ、まったく新しい調節モジュールの存在が判明した。このリン酸化の解析結果をまとめて、酵母の第一世代リン酸化地図が得られた。酵母のタンパク質や反応経路の多くはよく保存されているので、今回の結果は、さまざまな真核生物のタンパク質リン酸化の機構や役割について調べる手がかりとなろう。 Full Text PDF 目次へ戻る