Letter 発生:転写因子Engrailed-2は網膜軸索を誘導する 2005年11月3日 Nature 438, 7064 doi: 10.1038/nature04110 ホメオドメインをもった転写因子であるEngrailed-2 (En-2)は、発生期の中脳で尾側から吻側に向かう勾配にしたがって発現しており、網膜入力が地理的対応をもって投射する視蓋で、神経結合のパターン形成を支持する役割を持つ。En-2は、分子内のDNA結合ドメインを介して遺伝子発現を調節するというよく知られた役割の他に、分子内に核からの搬出や分泌、エンドサイトーシスによる取り込みに関与するドメインをも備えていることから、細胞間コミュニケーションにも役割を持つのではないかと考えられている。今回、細胞外にEn-2タンパクの勾配を与えると、アフリカツメガエルの耳側網膜から発する視神経軸索の成長円錐は強く反発を受け、逆に網膜鼻側から発する軸索は誘引を受けるという、この可能性を裏付ける結果が得られた。蛍光標識したEn-2は、数分内に軸索成長円錐の内側に蓄積し、また細胞内に取り込まれない変異型En-2は軸索の方向転換を引き起こさなかった。En-2は、いったん細胞内に取り込まれると、翻訳開始にかかわるタンパク質のすばやいリン酸化を促し、新規タンパクの局所的合成を開始させた。また、En-2の存在下での鼻側および耳側神経成長円錐の方弦は、タンパク合成阻害剤によって抑制された。ここで見られた鼻側と耳側の網膜神経軸索誘引反応の違いは、En-2が脊椎動物の視覚系の地理的対応マップの形成に直接関与していることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る