Letter 進化:水素を産生する嫌気性ミトコンドリア 2005年3月3日 Nature 434, 7029 doi: 10.1038/nature03343 ヒドロゲノソームはATPと水素を産生する細胞小器官であり、嫌気性鞭毛虫類、ツボカビ類、繊毛虫などの、多様な互いに近縁ではない真核生物で見出される。これらの生物のヒドロゲノソームはいずれも水素を産生するが、その構造や代謝は生物種によって大きく異なっており、やはり大きなちがいが見られるミトコンドリアに似ている。こうしたちがいがあるため、ヒドロゲノソームの進化的起源に関しては未だに論争が続いている。本論文では、ゴキブリの後腸に生息する嫌気性繊毛虫であるNyctotherus ovalisのヒドロゲノソームが、ミトコンドリア電子伝達鎖の成分をコードする原始的なゲノムを保持していることを報告する。系統発生解析から、これらのタンパク質が、好気性繊毛虫の相同タンパク質とクラスターを作ることがわかった。またピルビン酸脱水素酵素や複合体IIなどの、ミトコンドリアプロテオームの核にコードされる複数の成分の存在が認められた。N. ovalisのヒドロゲノソームは、ミトコンドリア複合体Iの阻害剤に感受性を示し、主要代謝最終産物としてコハク酸を産生する。これらはいずれも嫌気性ミトコンドリアに典型的な生化学的特徴である。水素の産生と、呼吸鎖構成成分をコードするゲノムの存在、そして嫌気性ミトコンドリアに特徴的な生化学的特性から、N.ovalisの細胞小器官は、ミトコンドリアとヒドロゲノソームを結ぶミッシングリンクであると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る