Letter 発生:Ultrabithoraxは甲虫コクヌストモドキにおける膜状翅の分化に必要とされる 2005年2月10日 Nature 433, 7026 doi: 10.1038/nature03272 先祖型の有翅亜綱昆虫に典型的に見られる2対の翅は、多くの場合進化的な変化を受けている。ショウジョウバエDrosophila melanogasterでは、膜状の前翅と変化した後翅(平均棍)の違いはHox 遺伝子Ultrabithorax(Ubx)に依存して生じる。ショウジョウバエの前翅はHoxの制御を受けずに形成されるが、Ubxは翅の発生に重要な遺伝子を抑制し、平均棍への分化を促す。しかし、Hoxによる制御が平均棍のような形態的に特殊化した翅の形成には重要だが、先祖型の翅には重要でないと考えるには、他の目の昆虫でも確かめる必要がある。コクヌストモドキTribolium castaneumのような甲虫類では、(翅鞘へと)変化しているのは前翅であり、後翅は祖先型により近い形態を保っている。本研究で我々は、この甲虫では、Ubxが後翅を「脱特殊化」しており、この遺伝子をノックダウンすることで翅鞘への形態変化が起こることを示す。また、翅鞘は分岐した形態であるにもかかわらず、Hox制御を受けないことによって形成されるという証拠も示す。後翅におけるUbxの働きはspalt、iroquois、achaete-scuteの相同遺伝子の発現を、翅鞘様パターンから典型的な翅のパターンへと変化させるために必要だと思われる。甲虫の後翅において特殊化を打ち消すUbxのこの働きは、昆虫の翅の多様化にこれまで未知の制御様式があることを意味している。 Full Text PDF 目次へ戻る