Letter 化学:金属表面における大振幅振動の電子励起への変換 2005年2月3日 Nature 433, 7025 doi: 10.1038/nature03213 遷移状態の性質と同力学について識見を得ることは、化学反応の機械論的研究のかなめであるが、既存の化学結合が解離して新たな結合ができるときの寿命の短い立体配置を直接研究するのは非常に難しい。断熱ポテンシャルエネルギー表面(通常、核と電子の運動が互いに独立だと仮定する量子化学的手法を用いて導出される)により、反応にかかわる原子間の基本的な力を定量化し、遷移状態を通過するときの反応系を正確に記述できる。この手法は、気相反応について広く検証され、今では金属表面での反応にも一般的に適用されている。しかし、表面反応に対するこの理論的手法の正しさを疑わしいとする証拠が現れた。高発熱化学吸着の際に電子励起が観測されたのである。さらに、間接的な証拠から反応物分子の大振幅振動が金属表面の電子を励起しうることが示唆された。今回我々は、高振動励起状態にあるNO分子が衝突したときに金属表面から出て行く「熱い」電子を検出した。電子の放出は振動エネルギーが表面の仕事関数を超えたときにだけ起こり、大振幅振動が関与しない類似の系で見られるより、少なくとも10,000倍効率が高かった。これらの観測は、振動励起から電子励起への直接変換をはっきりと示しており、金属表面での結合解離を記述する理論的手法において現在使われている基本的仮定の1つに対して疑問を呈している。 Full Text PDF 目次へ戻る