Letter

生理:昆虫は酸素の毒性を回避するため断続的に呼吸をする

Nature 433, 7025 doi: 10.1038/nature03106

陸生昆虫の呼吸器官は気管からなり、その体表開口部である気門を開閉してガス交換を制御している。多くの昆虫では代謝速度が相対的に高いにもかかわらず、気門の密閉時間が長いなど、ガス交換パターンが著しく断続的である。この気門のふるまいについては、これまで2通りの説明がなされてきた。1つ目は、このパターンが呼吸による水分損失を抑えるのに役立つとするもの、2つ目は、このパターンが低酸素状態や炭酸ガス過剰状態に対処する方法として地中生活をする昆虫で最初に進化したとするものである。今回我々は、酸素は酸化的代謝に必要でありながら、比較的低濃度でも組織の酸化的損傷を引き起こす毒性物質になりうるという考え方をもとに、考えられる3つ目の説明を提案する。生理的に正常なCO2分圧では、昆虫の呼吸器系からのCO2の拡散速度は、O2の入り込む速度よりも遅く、このため気管内のCO2は増加する。したがって気門は、蓄積したCO2を昆虫体内から除くために間隔的に開かねばならないが、この過程は組織を危険なほど高いO2濃度にさらすことになる。我々は、静止状態の昆虫で見られる気門の周期的な開閉パターンが、蓄積したCO2を呼吸器系から排除する必要と、それに続いて酸素毒性を低減させる必要からくる必然的結果だと考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度