質量は恒星の最も基本的なパラメーターであるが、直接的に計測するのが最も困難なものの1つでもある。一般的に恒星の質量は、光度を決定し「質量−光度」関係を用いることによって推定される。しかしこの関係は、若い星、小質量星および褐色矮星についてはこれまで正確に較正されていない。したがって、これらの小質量天体に対する質量は、理論的なモデルによってのみ制限される。新しい高コントラスト補償光学カメラにより、若い(5,000万年)伴星を、かじき座の連星系AB Dor A星(さらに明るく伴星より120倍を超える光度をもつ)からわずか0.156秒角(2.3 AU)の位置に発見することができた。本論文では、新たに解像された低質量の伴星、AB Dor C星の質量を力学的に決定し、その質量が太陽質量の0.090±0.005倍であることを報告する。1〜2マイクロメートルの波長で観測されたその光度からすると、標準的な質量−光度関係では、そのような天体の近赤外線光度を若い年齢では2.5倍ほど過大評価していることが見出された。したがって、これまで質量が恒星より小さい天体であると考えられてきた若く低温の天体は約2倍の質量をもち、このことは若い星団における褐色矮星や惑星質量天体の数が過大評価されていたことを意味している。