Letter 古環境:暁新世/始新世境界最高温期における高湿度の気候状態 2004年11月25日 Nature 432, 7016 doi: 10.1038/nature03115 5,500万年以前の暁新世/始新世境界の最高温(PETM)期に生じた5〜10℃の突発的な気候温暖化は、海床のメタンハイドレートの貯留層から約1,050〜2,000ギガトンの炭素が突然大量に放出されたことと結びついている。大気中のメタンおよびその酸化によってもたらされる二酸化炭素はPETM時の温暖化に寄与したと思われるが、この気候変化の規模もタイミングもメタンハイドレートに由来する炭素によって生じる直接の温室効果には対応していない。本論文では、PETM全期にわたる海洋と陸地との炭素同位体の記録には大きな差異があることを示す。これらの差異の原因を特定するために、重要な炭素循環過程のモデルを用いた。我々の結果から、気候システムの状態に、以前には確認されなかったPETM期固有のシフトが存在したことを示す証拠が得られるが、このシフトの特徴は中緯度の対流圏における湿度の大幅な上昇と陸地の生態系の炭素循環の増大である。より高湿な大気を考えればPETM時の温度を説明しやすいが、このシフトの原因となる、究極のメカニズムは依然として分かっていない。 Full Text PDF 目次へ戻る