Letter 生態:アシナガバチの一種では質を伝えるシグナルが社会的に施行される 2004年11月11日 Nature 432, 7014 doi: 10.1038/nature02949 生物は質を伝えるシグナルを使って、表現型や遺伝子型における個体それぞれの相対的構成について情報をやりとりしている。「社会的地位を示すバッジ」は、個体のサイズや集団内の優位性についての情報を伝える質のシグナル群である。質を伝えるシグナルに虚偽のないように維持するには、すなわち質の低い裏切り者が偽って質が高いと伝えても適応度に関するいかなる利得も得られないようにするには、一般的に高い、個体差のあるコストを必要とする。社会的地位を示すバッジの機構を維持するために理論上必要とされるコストについては今もって議論が続いているが、それは、こうしたシグナルの発生(または「作製」)にコストが相対的にかからないと見られる場合が多いからである。そこで1つの重要な仮説に、こうしたシグナルによって、他の個体との反発的な相互作用(攻撃など)が繰り返されるという社会的(または「維持用」)コストが課せられるというものがある。しかし、社会的コストを示した説得力のある実験的な証拠はまだない。今回我々は、これまで報告されていない種類の社会的地位のバッジにおいて社会的コストが存在することを報告する。アシナガバチの仲間Polistes dominulusでは、雌の顔にある黒い模様に高度の変異性がある。顔の模様からは体サイズおよび社会的優位性が強く予想できる。さらに、初対面のアシナガバチを2匹だけで会わせると、模擬対照のハチよりも、実験的に顔の模様を変えた劣位のハチ(裏切り者にあたる)のほうが、優位のハチから攻撃を有意に多く受けた。このことから、顔の模様はシグナルであり、虚偽のシグナル発信には社会的コストが課せられることがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る